経営計画:年度経営計画
当協会では、経営の透明性に向けた取り組みとして、経営計画を公表しております。このたび、「平成31年度経営計画」を策定しましたのでお知らせします。
平成31年度経営計画
1. 業務環境
- (1)熊本県の景気動向
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熊本県内は、熊本地震の災害復旧工事をはじめ公共投資が高水準で推移しており、個人消費も雇用・所得環境の改善などを背景に、堅調に推移しています。観光は交通インフラの整備が遅れ回復に至っていない地域もありますが、インバウンド需要を中心に持ち直し、さらに2019年に県内で開催される国際スポーツイベントの開催、熊本市中心市街地では九州最大級のメインホールを持つ大型複合施設やホテル等の建設が予定されており、多くの観光客等の来訪が見込まれています。
また、雇用・所得面では求職者が減少基調にあるなか、高操業を続ける企業からの旺盛な求人を受け好影響が及んでいます。一方、生産面では、「はん用・生産用機械」や「金属製品工業」などで、高水準の生産を維持していますが、ここにきて、県内主力事業の一つである「半導体関連」で生産調整の動きが見込まれ、不安材料も出始めてきました。
- (2)中小企業を取り巻く環境
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熊本県内では、人手不足は解消されず人件費や建築資材などが高騰し収益を圧迫されている中小企業・小規模事業者が増加しており、平成30年(2018年)における負債総額1,000万円以上の倒産件数は40件となり前年度上回りました。しかしながら、倒産件数は過去15年間で最少であった昨年の36件に次ぎ一昨年と同様で2番目に少なく低水準を維持しています。
また、中小企業庁によると今後10年間に70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人が後継者未定です。現状を放置すると廃業が急増し2025年頃迄に約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われると試算されています。県内の中小企業・小規模事業者の優れた技術や雇用を維持し地域経済の活性化につなげるため、創業から事業承継に至る幅広い支援が求められています。
2. 業務運営方針
昨年4月、「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律」が施行され、信用保証協会は信用保証に加えこれまで以上に経営支援の取組みが求められることになりました。
一方で、平成28年(2016年)4月に発生した熊本地震から3年が経過し、復興需要は続いているものの一部の地域や業種によっては弱まりつつあります。特に、人手不足や原材料のコスト高等に起因する様々な経営課題を抱えている中小企業・小規模事業者においては、息切れ感が出始めており金融機関や関係機関と連携した顧客本位の経営支援を展開することが重要となってきています。
当協会はこうした趣旨を踏まえ、昨年度からスタートした第5次中期事業計画において「信用保証から総合支援機関への変革」を掲げ、中小企業・小規模事業者の持続的発展を支援する取組みを推進しています。特に今年度は、保証から期中管理、管理回収に至るあらゆるライフステージのお客様と真正面から向き合いこれまで以上に対話を重ね経営課題を共有し、経営改善や生産性向上に向けた支援を進めていきます。
この取組みを実現するためには、金融機関や関係機関との連携を深めるとともに、職員自らもお客様の課題解決のために何ができるか考え、伝え、行動することができる人材を育成しなければなりません。
さらに、規程等やその管理体制を整備し、業務の有効性や効率性の向上に努めるとともに、職員のコンプライアンス意識の向上を図り、公的機関として社会的な信頼に応えていきます。
【保証・経営支援部門】
- (1)中小企業の経営改善および生産性向上に向けた取組み
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1.中小企業との対話による経営課題の共有と解決に向けた取組みを行います
2.各金融機関と連携した事業性評価を取り入れた資金繰り支援を行います
3.自治体制度を活用した熊本地震の被災者支援と各種イベント効果を高める取組みを行います
- (2)地方創生に貢献する各種支援事業の取組み
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1.自治体との連携による地方創生事業を推進します
2.創業者への円滑な資金供給と創業後の支援を強化します
3.創業機運醸成に向けた金融教育を実施します
4.関係機関と連携した事業承継支援の取組みを行います
【期中管理部門】
- (1)事業再生に向けた取組み
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1.債務の正常化に向けた取組みを行います
2.抜本的な事業再生支援の取組みを行います
【回収部門】
- (1)再チャレンジと効率性を考慮した管理・回収の促進
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1.事業再生や生活再建を支援する取組みを行います
【その他間接部門(総務関係)】
- (1)人材育成に向けた取組み
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1.人材育成マネジメントを強化します
- (2)業務の有効性および効率性の向上
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1.文書管理を徹底します
2.業務効率化を目指したIT等活用を検討します
【その他間接部門(コンプライアンス関係)】
- (1)職員のコンプライアンス意識の向上
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1.コンプライアンス研修の実施と効果検証を行います
2.改正民法の施行に備えた取組みを行います
3. 保証承諾等の見通し
平成31年度の保証承諾等の主要業務数値(見通し)は、以下のとおりです。
項目 | 金額 | 前年度計画比 |
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保証承諾 | 900億円 | 120.1% |
保証債務残高 | 2,300億円 | 94.0% |
代位弁済 | 39億円 | 116.9% |
回収 | 12億円 | 92.2% |