経営計画:年度経営計画
当協会では、経営の透明性に向けた取り組みとして、経営計画を公表しております。このたび、「平成30年度経営計画」を策定しましたのでお知らせします。
平成30年度経営計画
1. 業務環境
- (1)熊本県の景気動向
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熊本県内の景気は、平成28年熊本地震の影響もあり、地域や業種によって厳しさを残しつつも、力強い復興需要を背景に、緩やかに拡大しています。
個人消費は生活再建需要が続くなか、雇用・所得環境の改善が見られるなど堅調に推移しています。観光はインフラ面の制約から、地域によっては厳しい状況が続いていますが、インバウンド需要をはじめ全体としては持ち直しています。公共投資は、人手不足が、入札時の不調・不落をもたらし、工事進捗の制約要件となっているものの、災害復旧工事が本格化するなか、高水準の発注が続いています。設備投資については、被災した設備や建屋の復旧・復興工事が、解体の進捗や補助金交付の決定などにつれて、はっきりと増加しています。
生産面では、堅調な世界的需要や復興関連需要を背景に、「電気機械」や「はん用機械」などで高水準の生産が続いています。雇用・所得面では、求職者が減少基調にあるなか、復旧需要に直面する企業や高操業を続ける企業からの旺盛な求人を受けて、労働需給は引き続き逼迫しています。
そうしたもとで、地域や職種によるミスマッチは残りつつも、所得面では好影響が及んでおり、今後、熊本地震からの復旧・復興工事や再開発需要が本格化していくなかで、県内の景気は、緩やかな拡大が続くと予想されます。
- (2)中小企業を取り巻く環境
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熊本地震における国や各自治体、金融機関における手厚い支援もあり、平成29年における負債総額1,000万円以上の倒産件数、負 債総額はともに前年を下回りました。
しかしながら、熊本地震発生後は、人手不足が深刻化し、人件費の高騰や人材募集経費、外注費の増加が収益を圧迫している企業も多く、復興需要を背景に好調を維持している企業との二極化が見受けられます。
また、全国的に中小・零細企業を中心に後継者難や経営者の高齢化が深刻化しており、倒産に至らないまでも事業を断念し、「休廃業・解散」を選択する企業は、倒産の約3倍で推移しています。県内においても、中小企業の約3割が後継者不在といわれています。中小企業が持つ価値ある技術や育てた事業を将来に残し地域の活性化に貢献するため、事業承継をはじめ幅広い支援が求められています。
1. 業務環境
「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律」が平成29年6月に成立(平成30年4月施行)し、中小企業者による経営の改善発達を促進するため、信用保証協会が、その業務を行うに際し、金融機関と連携を図るとともに、経営改善や生産性向上に係る助言やその他の支援を行うことが規定されました。
一方で、平成28年4月に起こった熊本地震から2年が経過し、県内景気は緩やかに回復していますが、地域や業種によっては格差が見られ、本格的な復興を支援するためにも、金融機関と連携し、事業性評価に基づく十分な信用供与を行いつつ、その後においても適切な経営支援を継続することが重要となってきています。
当協会は、こうした趣旨を踏まえ、平成30年度からスタートする第5次中期事業計画(平成30年度から平成32年度)において、「信用保証から総合支援機関への変革」を掲げました。信用保証によるこれまでの資金繰り支援に加え、保証、期中管理、回収の各部門が一貫して、中小企業の経営改善や生産性向上につながる経営支援の取組みを徹底します。特に、事業承継については、専門部署を設置し支援体制を整備するほか、管理部を経営支援部に統合し、再生支援や生活再建支援の目線で再チャレンジを後押しします。
また、地方創生への貢献として、各自治体と連携し、それぞれのニーズに応じた様々な中小企業支援策を展開するとともに、地元の学生向けに金融教育を実施、潜在的な創業者の掘り起こしにも注力します。
このような取組みを実現するためには、職員の専門的知識の習得や経営支援能力の向上が必要であり、人材育成のマネジメントシステムを構築します。
さらに、規程等やその管理体制を整備し、適正かつ効率的な業務運営に努めるとともに、職員のコンプライアンス意識の向上を図り、公的機関として社会的な信頼に応えていきます。
【保証部門】
- (1)熊本地震からの創造的復興に向けた取り組み
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1.金融機関と連携した事業性評価を取り入れた保証を推進します
2.「経営者保証ガイドライン」の適切な運用と経営者保証に拠らない保証の普及に努めます
- (2)創業支援と事業承継支援の取組み強化
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1.関係機関と連携した潜在的創業者の発掘と創業前支援を実施します
2.創業後フォローアップによる事業継続に向けた取組みを強化します
3.関係機関との連携による事業承継支援に向けた取組みを実施します
- (3)金融機関や関係機関との連携による支援協力体制の構築
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1.金融機関との継続的な対話による支援方針の共有と改善を図ります
2.金融機関を紹介する取組みの円滑な運営と関係機関との連携を強化します
- (4)地方創生に向けた取組み強化
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1.自治体等との連携による地域のニーズに応じた振興事業を推進します
2.大学や専修学校等への金融教育を通じた創業マインドの醸成に努めます
【経営支援・期中管理部門】
- (1)持続的発展を促すための経営支援サービスの提供
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1.小規模事業者やプロパー融資のない中小企業への助言や診断を行います
2.業績回復が遅れている被災企業へのフォローアップを実施します
- (1)再生期における中小企業の実情に応じた経営支援の強化
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1.個別支援会議等によるコンサルティング機能の発揮と経営改善支援を実施します
2.事業再生ファンド等を活用した抜本的な事業再生支援の取組みを強化します
【回収部門】
- (1)事業継続先に対する再チャレンジに向けた支援の強化
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1.専門家派遣および効果的なフォローアップを実施します
2.事業再生、債務の正常化に向けた取組みを強化します
- (2)回収可能性の早期見極めと効率性を考慮した管理・回収の促進
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1.初動対応を徹底します
2.事業再生や生活再建を考慮した求償権解決策を積極的に提案・実施します
3.回収見込みがない求償権の管理事務停止・求償権整理を促進します
【その他間接部門(総務関係)】
- (1)人材育成の強化
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1.職場の活性化や能力向上につながる人材育成マネジメントを再構築します
2.専門的知識を習得するための効果的な研修を実施します
- (2)内部統制の強化
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1.規程等の整備と管理体制を確立します
- (3)熊本地震の総括と有事に備えた体制強化
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1.被災体験の情報発信と事業継続計画(BCP)の見直しによる体制を強化します
【その他間接部門(コンプライアンス関係)】
- (1)職員のコンプライアンス意識の向上と態勢整備
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1.効果的なコンプライアンス研修を実施します
2.改正個人情報保護規程の職員への周知と適正な運用を行います
保証承諾等の見通し
平成30年度の保証承諾等の主要業務数値(見通し)は、以下のとおりです。
項目 | 金額 | 前年度計画比 |
---|---|---|
保証承諾 | 850億円 | 77.3% |
保証債務残高 | 2,576億円 | 87.1% |
代位弁済 | 25億円 | 86.8% |
回収 | 11億円 | 99.9% |